第9期の活動計画

プロセスシステム工学は、化学プロセスをより合理的に計画・設計・運転・管理することを目的に、対象を深く分析し、化学、物理から電気、機械を含むさまざまな科学分野、工学分野の知識を統合してモデル化し、数理工学や計測・制御工学、情報通信技術の知識を利用して発展してきた。現在、その対象は化学プロセスにとどまらず、分子領域から地球環境・エネルギー・資源問題まで拡大している。また、化学プロセスにおいても、個々の機器の定常最適化からプロセス全体の動的最適化、高機能製品開発と密接につながる少量多品種生産のための体系化まで、その対象を拡大してきた。このような状況において、プロセスシステム工学には、より対象に深く入り込んだ研究の推進や現実規模の問題の解決、不確実性の大きな問題に適用可能な手法の開発、ネットワークでつながった広範囲なシステムにまで境界を広げた問題に適用可能な手法の開発・展開が要求されてきている。
 これまで本委員会は、プロセスシステム工学に関する大学研究者と企業技術者の共同研究を支援し、この分野の実学の推進に大きく寄与してきた。第9期においては、これまでの活動を深化させることに加え、プロセスシステム工学が問題解決を担うべき新たな課題の把握とその問題解決への具体的な取り組みを柱として活動を進める。
以上の状況を踏まえ、第9期では以下の項目を中心に活動を進める。

  1. プロセス技術者や計測・制御技術者が持つ現実的な問題の把握とその解決のための研究
  2. プロセス産業における製品と製造の統合的開発に関わる研究
  3. 環境・エネルギー・資源問題の解決に向けた研究
  4. 情報通信技術を活用した生産システムの高度化に関わる研究
  5. 隣接分野および異分野研究者・技術者との交流の推進

これまでの活動の発展として、問題解決のための要素技術となるマルチスケールモデリング等のモデリング手法、最新のさまざまな最適化手法、定常状態のみならず動特性に対応したシミュレーション手法、現実的なプロセス制御手法等に関する研究を一層推進する。プロセス産業における製品と製造の統合のためには、製品機能とプロセスを関連づけるモデリング手法や、製品機能の計測としてのソフトセンサー、統合を実現するビジネスモデリングの研究を推進する。環境・エネルギー・資源問題では、工学的な技術への理解に加え、長期間にわたる不確実性、多目的性、多主体の関与といった特性を含めた問題解決手法を議論する。情報通信技術を活用した生産システムの高度化では、生産現場がネットワークによってさまざまなシステムと接続されることによるメリットを享受し、高度な運転・監視を実現するためのシステム技術や、境界条件の広がった問題を解決するための手法について研究を進めていく。
 このようにプロセスシステム工学の対象が拡大するにつれ、分子レベルから反応、流体、プロセス、情報システム、そして地球環境や社会システムまでの様々なモデル化技術や、モデルに基づいたシミュレーション技術が必要になる。これらのモデリングには、化学工学や計測・制御工学以外にも様々な分野の研究者や技術者の知識が不可欠である。そこで、近隣の分野や異分野の研究者を研究会に積極的に招聘するとともに、共同研究の可能性を検討し、プロセスシステム工学の発展に努める。


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